所長挨拶

所長
加藤 之貴

東京工業大学 科学技術創成研究院 ゼロカーボンエネルギー研究所は2021年6月に開設されました。初代所長 竹下健二の後任として2022/4に就任させて頂きました。ここにご挨拶を申し上げます。

地球環境の下に人類が持続的に生きるためには、人為的な二酸化炭素(CO2)排出の抑止が必要と考えられます。本研究所はゼロカーボンエネルギーを用いたカーボンニュートラル技術の開発を通して、地球と共生しかつ豊かな社会の構築に貢献することを目的に設置されました。

21世紀を迎え、物・情報の豊かな便利な時代を迎えたと思ったのも束の間、急激な気候変動、感染症拡大などの環境変化に翻弄され、人類は自然の大きさと人間の無力さを認識しだしております。自然に生かされている感謝を改めて思い起こす必要がるのではないでしょうか。20世紀型の化石資源に過度に依存した社会が反省し、地球環境に親和性のあるカーボンニュートラル型の社会への転換を目指します。

豊かな社会生活の駆動には一次エネルギーが必要です。これまでの化石エネルギー依存を極力減らし、ゼロカーボンエネルギーである再生可能エネルギー、原子力エネルギー、バイオマスまた産業排熱などを活用する研究を行います。再生可能エネルギーは不安定であるため、その普及にはエネルギー貯蔵技術が必要です。貯蔵技術として蓄電、蓄熱、エネルギーキャリア技術、また新なエネルギーネットワークシステムを検討します。原子力エネルギーは社会に不安をもたらしておりますが、貴重なゼロカーボンエネルギーととらえ、安全かつ経済的な原子力エネルギーシステムを開発します、あわせて放射線利用技術研究を進めます。炭素は古来より人類と親和性があります。そこで炭素利用を許容しつつ環境にCO2を排出しない、ゼロカーボンエネルギーを用いた炭素循環産業システムの創成を目指します。この実現のためにCO2の回収、資源化、循環利用の進展を目指します。

そして研究の社会実装を加速するためにグリーン・トランスフォーメーション・イニシアティブ、Tokyo Tech GXI、事業を展開します。Tokyo Tech GXIでは産学官、社会、市民が連携したオープンイノベーションを展開します。

ここで上げた研究テーマは未踏領域であり個人、一組織での達成はできません。テーマに賛同頂ける多くの方のご協力が必要です。本研究所が一つの拠り所となり、国内外の多くの方々と協力して将来に希望を持てる社会の構築に役立ちたく思っております。皆様のご参画を大いに歓迎いたします。

本研究所に対するご指導、ご支援をどうぞよろしくお願いいたします。