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ゼロカーボンエネルギー研 池田寛研究員が日本伝熱学会賞(奨励賞)を受賞

2022年5月19日

東京工業大学科学技術創成研究院ゼロカーボンエネルギー研究所の池田寛研究員(村上陽一研究室)が、公益社団法人日本伝熱学会の学会賞(奨励賞)を受賞しました。授与式は本年5月19日の日本伝熱学会総会において執り行われました。

日本伝熱学会は伝熱に関する学理技術の進展と知識の普及、会員相互及び国際的な交流を図ることを目的としている学術団体です。会員数約1,500名で、機械工学、化学工学、原子力工学、冷凍空調、バイオエンジニアリング、食品工学、建築学、地球科学など幅広い学術分野にわたる科学者や技術者で構成されています。1961年に組織され、1994年10月からは社団法人として、2012年度からは公益社団法人として活動しています。

受賞研究について

受賞表題:「熱電気化学発電と強制対流冷却を統合したフロー熱電発電の開拓と特性支配メカニズムの解明」
世の中に多くある発熱体から迅速に除熱を行う積極冷却の多くは、液体などの流体を発熱体表面に流動させる「強制対流冷却」によって行われています。このとき、大量の熱移動が比較的大きな温度降下を伴って起きており、これは原理的には発電が行える状況ですが、これまでは冷却の緊急性に隠れてこの発電機会は活用されてきませんでした。

そこで本研究では、容器内に密閉された液体中の温度勾配から発電する「熱電気化学発電」という液体側で行う熱電発電に用いられる電解液を強制対流冷却における冷媒として用い、冷却が必要な発熱面を効果的に冷却しつつ発電を行うコンセプトを着想、その技術の創出・実証とその性能支配要因の解明を進めてきました。これにより、社会や産業に広範に存在する従来未活用な「強制対流冷却で積極除去される熱エネルギー」から有益な電気エネルギーを生成する技術を創出しました。本成果の一部は池田研究員が筆頭著者である下記の原著論文において公表されています。(共にオープンアクセス)
DOI: D1SE01264A
DOI: C9CP05028K

本人の受賞コメント

この度は栄えある本賞を受賞し、大変光栄に感じております。受賞対象の研究は私が6年前、研究室配属時に立ち上がったテーマであり、当時指導教員だった村上先生や研究室メンバーとともに推進して参りました。困難を乗り越えて発表してきた成果がこのように評価されたことを大変嬉しく思い、研究のやりがいを感じております。今後も研究者として精進を重ね、邁進していく所存です。この機会をお借りして、本研究の遂行に関して多大なご指導とご支援を賜った村上陽一教授(科学技術創成研究院ゼロカーボンエネルギー研究所)、本賞選考委員会の先生方、当学会事務局の皆様に心より感謝申し上げます。また、数年にわたる本研究の遂行を支えてくれた家族に感謝します。

リンク

日本伝熱学会
村上研究室
池田寛|東京工業大学STARサーチ

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