平成23年8月1日
東京工業大学 原子炉工学研究所
所長 有冨正憲
原子力発電や核燃料サイクルの技術向上による安全の確保とともに、放射性廃棄物の処理・処分は重要な課題として種々の検討が進められています。
一方、国内の研究開発や各種産業の中には、ウランやトリウムを直接的な原子力(エネルギー)の用途としてではなく、それらの元素としての特性を利用する「非原子力用途」も種々存在しています。
例えば、生物由来の試料を透過型電子顕微鏡で観察する際に使用される酢酸ウラニウム、ウラニウムを主成分とする化学反応の触媒等の種々の試薬、トリウムを含有する高屈折率ガラス、トリウムを含む合金製の電極等が知られており、これらの原料、製品、及びそれらから発生した廃棄物等も保管されているものと考えております。これらのウランやトリウムを安定保管し、またそれらで汚染した廃棄物を処理・処分する方法は、国の施策としては部分的な対応が始まったところであり、その多くは各事業者の自主的な対応に委ねられていますが、その対応は難しいものと推察しております。
ウランやトリウムは少量ながら放射性を持ち、一定の条件においては原子力エネルギー源としての使用も可能なものであり、一般公衆に対する安全性の確保や国際的な保障措置、物質防護の観点からも適切な対応が必要です。また、これらのウランやトリウムの中には、使用を開始した後の国際的な規制の強化等によって、法規制に対象になったものや、既に使用を終了し、単に保管管理のみを継続しているもの、さらには、研究組織や企業体の変化や事業所の立地変更等のために、それらを移動、又は移管する要請があるにもかかわらず、保管を継続しているものも含まれているものと推察しております。また、これらの保管、移動、集約、安定保管に要する費用が大きな負担となる場合もあるものと考えております。
これらの国内に分散して存在するウランやトリウム、及びそれらから発生した廃棄物を集約し、化学的、物理的に安定な状態で安定保管し、又は適切に処理した上で処分(埋設)することは、一般公衆の安全確保のためのみでなく、国際的な理解を得つつ、これらに適切に対処することは原子力を含む科学技術全般の進歩にも不可欠なことと考えています。このことを日本全体の課題として捉え、費用の「発生者負担の原則」を踏まえつつ、中小、零細な事業者等の費用負担への支援方法も含めて、迅速に対応する必要があると考えています。 この課題を解決するために、当研究所内に「国内に分散しているウラン、トリウムの集約・再使用・安全保管に関する検討委員会」(略称:分散核燃委員会)を設置し、検討を開始いたしました。
個別の事業者の方の情報、特にそれぞれにお困りの事情等を集約した上で、国の施策への提案、必要な技術の開発等を経て、これらの安定保管及び廃棄物の処理・処分の実現につなげたいと考えております。
上記の事情をご賢察の上、貴事業所において保管されているウランやトリウムに関して、
1、その量、化合物種、保管形態(液体、固体、粉体等)
2、入手の方法、及びその当時の法的な取扱い
3、使用の目的
4、今後の使用の計画
5、ウランやトリウムの保管や譲渡等に関するご希望
6、ウランやトリウムが付着した器具やウエス等の廃棄物の状況、及びそれらの処理、処分に対するご希望
7、特にお困りのこと等のその他の情報
を可能な範囲、分かる範囲でご提供頂けますようお願い申しあげます。併せて、当委員会での検討に関するご意見、ご要望をお寄せ頂くことも歓迎いたします。
尚、頂きました情報は「秘密事項」扱いとし、別途の手続きで個別にご承諾頂ける場合を除いて、事業所名を伏し、かつその所在の推定も難しい形での情報としてのみ活用させて頂きます。 又、匿名扱いでの情報のご提供も、お受けいたします。
[連絡先] 東京工業大学 原子炉工学研究所
客員教授 川上 文明 kawakami.f.ab@m.titech.ac.jp
東京工業大学 原子炉工学研究所
「国内に分散しているウラン、トリウムの集約・再使用・安全保管に関する検討委員会」(略称:分散核燃委員会)
について
| 委員長: |
東京工業大学 原子炉工学研究所 所長 有冨正憲 |
| 委員: |
(財)原子力研究バックエンド推進センター 専務理事 森久起
(財)核物質管理センター 運営企画部長 小林功、
東京工業大学 原子炉工学研究所 教授 池田泰久
東京工業大学 原子炉工学研究所 教授 竹下健二
東京工業大学 原子炉工学研究所 准教授 鈴木達也、
東京工業大学 原子炉工学研究所 客員教授 川上文明(事務局) |
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| 第一回 委員会 |
| 2011年2月17日 東工大原子炉研にて、開催。 |
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